目まぐるしく

福寿草

 昨年(2021年)の2月頃は精神的にも肉体的にも失意のどん底を彷徨っていた。グリーフの状態でただ時間だけが過ぎ去っていく様な日々をおくっていた。

 色々身の回りの物を残務整理をしていたら、5月6日に農協から電話が有り土地の競売の話が舞い込んで来た。家の隣の茶畑だ。広さは157坪。その時、内心、駐車場には半分ぐらいでいいなと思った。

 地主さんに話を聞いたら、13社ぐらいに入札の話をしてあるとのことだった。競売か?・・・。その時、隣の土地はどうしても欲しいが、大手の不動産会社が入るのでいくら払えば入札出来るのか全く見当がつかなかった。

 測量士さんが来て、境界線の事で立ち会った。測量士さんの話だと、大手の不動産屋さんが入った様なので、土地の入札価格に普通の不動産屋さんでは太刀打ち出来ないのではないかと言われた。まして素人の出る幕ではないと推察した。その時、いくらぐらいなのかな?路線価の何倍なのかな?と素朴な疑問を抱いたが素人の自分には見当がつかなかった。6月3日見栄を張って、自分なりに金額を決めて、入札の書類を農協に提出した。どうなるかな、当たるかな・・・駄目かな・・・?と自問自答した。

 6月7日に農協から電話があったが、結果は駄目だった。電話の内容は、「競売の土地はある不動産屋さんが購入する事になりました。惜しかったですね、落札金額は2番目でしたが、落札金額はお教え出来ません。」と言われた。

 残念だが、諦めるしか無いと思った。自宅の垣根の所から隣の茶畑に植木の枝が出ているのを測量士さんに指摘されていたので、植木をすべて伐採する事にした。八朔、ひめゆず、シュロ、グレープフルーツの木、金木犀など、今まで丹精に育てた植木を伐採するのは辛かった。

 土地入札が外れてショックを受けたが、気分を一新して車を注文する事にした。丁度、ホンダのベゼルがモデルチェンジをして人気が出ている事を知らされていたからだ。今、注文すると6ヶ月待ちだと言われた。

 それからは、すっかり土地の事は頭から消えて、駐車場は今後も今の地主さんにお願いすれば良いと考えていた。

 6月15日、意外にも農協から電話があった。その内容は、「不動産屋さんを通して購入予定の会社が土地の面積の1/2有れば良いから残りの土地を折半で購入しませんか?」という内容だった。検討した結果、その会社と土地を半分にして入札額を折半して地主さんに支払う事で交渉が成立しました。意外な展開になって来た。それならば、植木を伐採する事は無かったのにと悔やまれた。

 8月2日、りそな銀行で地主さん、不動産屋さん、司法書士さん、農協の人の立ち会いの元、関係書類を整えて土地取得となりました。翌日から駐車場の工事が急ピッチで始まり、整地、盛り土、フェンス、アスファルト舗装、ライン引き、路肩切り下げ工事をして9月に81坪の駐車場(14台)をオープンする事が出来ました。

 今まで、何十年もの期間、地主さんから土地を借りて駐車場を確保していましたが、自分の土地内に駐車場を作れた事が最高の喜びであると自画自賛しました。駐車場の賃借料も払わなくて良くなった事、何より、お客様に無料で安心して車を停めるスペースを提供出来た事が最高の幸せです。

 土地の入札の話の進行中に、実家の管理問題に頭を悩まされていました。とにかく、梅雨期頃から草が生え放題で、夏の炎天下一人で実家に行って毎年のように草取りをしたが、はかが行かず、今後このままでは、家屋の倒壊や、無人の家の火災など問題が山積するだろうと思うと悩ましい状態でした。相談する伴侶に先立たれて、娘や、息子に相談をもちかけたが、結局は私の判断に委ねられる事になってしまいました。兎に角、実家の家の管理が事実上出来ない状態になってしまいました。誰も住む人が居なくなり、裏庭の植木も伸び放題、居間の床がぬけて、家屋も風化が進んで外壁もボロボロになってしまった。

 父親が心血を注いで建てた家を解体する事は非常に薄情で申し訳無いと思いましたが、自分一人で無人の家を管理する事ができなくなってしまいました。思案の末、土地の有効活用を考えた結果、実家の建物を解体し更地にして、地元の不動産屋さんに管理依頼して10月、デント月極駐車場(10台)をオープンする事にしました。最初は借り手が1人しか見つかりませんでしたが、今年の3月になり満車になりました。

 今年の1月に入り、自宅の前の広い駐車場にはベゼルが止まっています。まるで何も無かった様に・・・。そして、駐車場の隣には新築の工事が急ピッチで進んでいます。昔、ここに茶畑があったなんて想像できない景観に変わってしまいました。

 今までの人生の中で、昨年の2月から今年の2月迄の1年間は色々な事が思いもよらずに急展開しました。

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