不気味な月の色

 西の空にくすんだ闇が広がり、不気味な色の月がその中に揺れて見える。8月に入ってから、蒸し暑さが続いている。
虫:「この月写真に撮れる?」
自分:「とれるよ」
虫:「撮ってみたら・・・。」
自分:「今は疲れているから、撮らない・・・。」
虫:「結局、今の技術では無理なんでしょ・・・。」

 如何にも、どうせ撮れないのではないのかと言わんばかりの言葉の調子・・。この虫の言葉の語気に傷ついてしまった自分は、だいぶ鍛えられた。ここ、数週間クラッシックカメラの露出とシャッタースピードで悩んでいたので、きつく感じたのかもしれない。すべてマニュアルだから・・・仕方がない事。
 川原で撮った写真の岩肌が、逆光で暗くなってしまい、理由をあれこれ考えていたからだ。反射光式露出計をつけてみたが、ほとんどの写真が暗めの写真になってしまった。今時、わざわざフイルム写真にはまってしまった自分が滑稽に思える。馬鹿みたい、しかし、フイルムがある以上撮りたい衝動に駆られてしまった。フイルムの色はデジタルの色と比べて鮮やかで自然だ。デジタルの色はあまりにもリアルすぎて、仮想色に思える。プリントしてみるとあまりの鮮やかさに妙な感じになる。人間の感性を次第に破壊するような感触さえある。でも、デジタルはすべての分野で必要不可欠な時代になった。このことは決して否定するつもりはない。デジタル写真も便利ですばらしい事は否定しない。むしろ惚れ込んでいる。
 デジタル写真なら何とか撮れるが、フイルム写真は実に難しい。現像が上がるまで何もわからないし、失敗したら二度とその時間に戻れない。だから、楽しいのかもしれない。その一瞬に執着して、表現できたときに「撮れた」と感動するだけの事だが、だからこそ虫様が師匠の言葉に思えるのかもしれない。結局、自分は欲張りな性格でやなやつなのだ。


 

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